窓から手を突き出し、流れて行く空気を鷲掴みにする。助手席で僕を頼りなげに見つめていた瞳は、まるで僕を責め立てるかのような鋭い光を放った。しかしそれはほんの一瞬の出来事で、すぐに諦めの色に変わってしまう。呆れたのだろうか、と思いつつも、僕は空気を掴む虚しい行為を止めようとはしない。空の彼方では、ヘリコプターがホバリング。まるで何処にも行けない僕達のようだった。