この世界には正気と狂気が混在して居る
其れは神様の持つ天秤によって
等しく人間の精神に配分されると言うのだけれど
僕の場合
狂気ばかりが多く配分されているようだ
絶望的に日々降り積もっていくあの人への思慕
外れては掛け直される理性の箍
何度も剥がされては凝り固まっていく瘡蓋の様に
僕の異常性は確立された
「余り怒らないね」と人は僕を揶揄するのだけれど
本当は違うのだ
僕の隠された凶暴性は
予め蓄電されたスタンガンのように
放電するその瞬間を待っている
じっくりと
しかし確実に
獲物を捕らえる瞬間を嬉々として待ちわびているのだ
あの人と出会った
あの日の様に |